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医師の⾧時間労働の法規制について②

医師の⾧時間労働の法規制について②

医師の⾧時間労働の法規制について①より、提言されたアンケート結果を以下に記載していきます。

提言に対するアンケート結果

提言1

1. 私たちは、医師が原則として国の定める労働時間の上限規制と労使協定を遵守する必要があると考えている。それは患者の医療安全と医師の安寧(Well-being)を保ち、医療の持続可能性を高めることにつながる。

アンケート結果において若手医師と医学生のそれぞれ 77%が労働基準法を守るべきであると答えた。その理由として、医師の⾧時間労働による 患者の医療安全に対する悪影響を危惧する意見と医師の安寧を保つ必要性に言及している記述が多かった。(回答者の自由記載については添付資料 2 を参照) ⾧時間労働が医師の業務遂行能力や医療安全に及ぼす影響については、これまでも世界中で多くの研究がなされている。2011 年 9 月に日本学術会議は「病院勤務医師の⾧時間過重労働の改善に向けて」の中で文献レビューを行い、⾧時間労働が医師の業務遂行能力を低下させ、医療の安全性に悪影響を及ぼすことを指摘している。また、⾧時間労働は医師の健康にも影響を及ぼしており、医学生や研修医は一般人口と比較して抑うつ症状や不安症状、バーンアウト、希死念慮が多いことが報告されている。そして、それらの症状が業務遂行能力の低下や患者のケアに悪影響を及ぼすことが報告されている。症状を改善するための様々な介入方法が検討されており、その中で⾧時間労働の是正が抑うつ症 状やバーンアウトの症状を改善することも報告されている。⾧時間労働を行っている若手医師の多くは、実感をもって医療の安全性と自身の健康に危機感を抱いているのだろう。

アンケート結果において、若手医師の 7.3%、医学生の 8.3%は労働基準法を守らなくてよいと答えた。その理由としては、労働時間の上限を守ると現状の患者の医療へのアクセスや医療の質を保てないことを危惧する意見が最も多かった。また、医師の職業上の特性を指摘する意見や個人の選好に任されるべきという意見があった。これらは医師の自己犠牲を前提として患者の健康を第1 に考える姿勢である。医師の自己犠牲を許容し、医師の職業上の特性や医師個人の選好を重視する意見は、従来から根付いている医師という職業が特殊なものであるという社会の意識が残存していることに起因するかもしれない。医師の職業倫理を定める世界医師会ジュネーブ宣言は 2017 年 10 月に改訂され、「I will attend to my own health, well-being, and abilities in order to provide care of the highest standard.」という 1 文が加わった。2015 年に採択された「医師の安寧に関する世界医師会声明」においても、「すべての人間と同様、医師も病気になることはあり、医師としての生活以外にも考慮されるべき家族への 義務やその他の大切な都合がある。」という基本概念が示された。私たちは、医師の職業倫理や社会の医師へのイメージが遷り変る過程に在るのかもしれない。加えて、これらの意見は医師の⾧時間労働を是正することに対する諦めとも捉えられる。患者の健康指標への影響を観察しながらも、労働時間の 上限規制を遵守できる労働環境を整えていくことが本質的な解決になると考えられる。


提言2

2. 私たちは、日本の人口構造の変化や様々な医療提供体制の問題、業務量の多さ、⾧時間労働を美徳とする医師の慣習や封建的な風潮によって⾧時間労働を余儀なくされている。私たちは、この全国的に常態化している医師の⾧時間労働が将来に渡って継続または増悪することに強い危機感を抱いている。若手医師や医学生を含む医師自体が⾧時間労働に身を投じて、助けを求めることが遅れてしまうメカニズムに配慮した対策が必要不可欠である。

アンケート調査において、多くの若手医師と医学生が労働時間の上限規制と労使協定を 守った方が良いと回答する一方で、若手医師の 71%は現行の労働時間の上限基準を守れていないと回答した。厚生労働省が実施した 2016 年 12 月の実態調査の結果では、20-30歳代男性常勤勤務医の平均労働時間は週75 時間(診療と診療外、当直、オンコールを含む)であり、20歳代女性常勤勤務医の平均労 働時間は週66時間であった。若手医師の⾧ 時間労働は他の世代と比較して明らかであり、全国的に常態化していると考えられた。

アンケート結果にて労働基準を遵守できない理由として挙がったのは、主に業務量の多さと医療提供体制の問題、⾧時間労働を美徳とする医師の慣習や封建的な風潮であった。(自由記載の詳細は添付資料 2 を参照) 60歳未満の常勤医師では、1日の中でカルテの記載と患者への説明と合意形成に最も時間を費やすこ とが分かっている。加えて、診療情報提供書等の文書作成や患者の診察に時間をかけている。若手医 師は学習者という立場でもあるため、その未熟さから各々の業務により多くの時間がかかったり、教育の一環としてカルテの記載(入退院要約、経過記録)や診療情報提供書の記載、患者の診察や手技、教育カンファレンスやその準備、勉強により多くの時間を割く傾向があるかもしれない。また、手術に多くの時間を割く専門科では、さらに時間的制約は大きい。労働基準を守れない理由として、様々な医療提供体制の問題を指摘する意見も多かった。主に医師不足や医療従事者全体の不足、医師の地域偏在を実感しているようだ。医師が労働時間に無関心であったり、法規則への知識がないことを指摘する意見もあった。ただし、たとえ法規制について知っていたと しても、⾧時間労働を美徳とする医師の慣習や封建的な風潮、世間の医師へのイメージから労働時間は 守れないと答える者も多かった。医師の慣習や封建的な風潮は学習者や被雇用者でもある若手医師だか らこそ感じるものかもしれない。明らかな物理的もしくは言葉の暴力やハラスメント、差別がなかった としても、私たちは指導者や雇用主から無意識に出た言葉や態度から察して⾧時間労働を行わざるを得ないこともある。2015年に採択された「医師の安寧に関する世界医師会声明」において指摘されているように、医師が⾧時間労働に身を投じて助けを求めるのが遅れる理由は、患者への責任感と外部からの期待に応えようとする想い、自身の不調を患者や同僚に知られることへの懸念と言われている。また、そもそも医師という職業が意欲的で責任感が強い人物が就職し、社会の中で一定の敬意をもってみられていることも関与していると指摘している。そして、医者の不養生と言われるように、患者を治療できるくらいであれば、まるで医者は病気に免疫があるように見なされて、職場の健康診断や健康増進プログラムを免除されてしまうこともある。加えて、若手医師の健康状態は指導医にとって把握しにくいことも報告されている。このように若手医師や医学生を含む医師自体が⾧時間労働に身を投じて、健康状態を崩してしまうメカニズムを考慮した対策が為されなければ私たちの労働環境は変わらないだろう。 今後も日本は高齢化率が上昇し続け、それに伴って医療サービスの需要も増加すると考えられる。ア ンケート結果の記載においても、患者の急変や救急対応など医療の需要によって⾧時間労働をせざるを 得ないと答える回答もあった。現状でも医師数は隔年で約8000人ずつ増加しているが、臨床現場の実 感は変わらない。医師人口の年齢構成や性別構成、専門科構成等も変化している。私たちは、この常態化している⾧時間労働が将来に渡って継続または増悪することを強く危惧している。日本の医療提供 体制の持続可能性を危ぶんでいる。


提言3

3. 私たちは、多くの若手医師や医学生が労働基準法の定める労働時間の上限規制や労使協定について理解していないことを知った。卒前教育や卒後教育を通して、若手医師と医学生が労働基準法を理解し、それを遵守する必要性を学ぶ機会を設けることを提案する。そして、私たちの指導医や雇用主が率先して労働基準を遵守し、職場を挙げて持続可能な労働環境の整備に向けて取り組むことを要望する。政府には彼らが労働時間の上限規制を遵守できるように医療提供体制を構築するよう要望する。

アンケート調査において、若手医師の59%、医学生の68%が、現行の労働基準法が 定める労働時間の上限規制や労使協定(36協定)について理解していないと回答した。 若手医師の多くが勤務医であり、これまでの判例から勤務医は労働者である。労働者であるならば、原則として若手医師や医学生は労働基準法の定める労働時間の上限規制や労使協定について理解しなければならない。 卒前教育や卒後教育において周知し、遵守するように教育していくことが必要である。また、若手医師や医学生が学ぶのはもちろんのこと、指導医 や雇用主が率先して遵守する必要がある。そうしなければ、若手医師や医学生は実質的には守ることができないし、これまでのように医師にとって労働基準法はあってないようなものになってしまうだろう。そして、政府には彼らが労働時間の上限規制を遵守できるように医療提供体制を構築するよう要望する。


提言4

4. 私たちは、現状のままでは国民の医療へのアクセスや医療の質を保ちながら、医師が労働基準法を遵守することができないことを認識している。下記に挙げる項目について、国民や行政、立法、医師会、コメディカル、アカデミア等が協力して、包括的かつ⾧期的な目標を設定し、実質的に医師が労働基準法を守れるような労働環境を段階的に実現していくよう求める。たとえ改革に時間がかかったとしても、決してこれまでのように医師にとって労働基準法があってないようなものになってはいけない。そして、私たちも無関心を装ってはいけない。

若手医師と医学生が共に90%以上の割合で検討が必要と答えた項目は3つであった。⾧時間労働の上限規制だけではなく、「医師の健康診断や休息の確保」や「医師の抑うつやバーンアウト、自殺を予防する対策」、「医師の子育て支援とキャリア支援(産休や育休、保育園、再就職支援を含む)」を若手医師と医学生は必要としている。「医師の子育て支援とキャリア支援」については、医学生で「とても必要である」と答えた割合が72%を超えており、医師の63% よりも多かった(χ2検定 p=0.001)。医学生にとって働き始めてからの心配が強いのかもしれないし、より若い世代に広がるワークライフバランスを重視する風潮が反映されているのかもしれない。そして、若手医師と医学生の両者で女性の方が男性よりも、「とても必要である」と答えた割合が高かった(χ2 検定 p=0.008)。男女共に必要であるとは捉えているものの、女性の方がより重要視している傾向があった。このような未来の医療の担い手である医学生の要望や増加している女性医師の要望にも応えていくことで、医師の労働参加率が向上し、医療の持続可能性の向上につながる可能性がある。

若手医師と医学生の間で必要であると答えた割合が解離している項目もあった。「研修の質の維持と モニタリング」の必要性は94%の医学生が重要視していた(χ2 検定 p=0.004)。既に研修中か研修を終えている若手医師よりも、これから研修病院の選定とマッチングを控える医学生にとって、⾧時間労働の改善が行われたとしても、必要な研修が受けられることは大切なことである。限られた労働時間の中でも、必要不可欠な研修が受けられるように医学教育方法に工夫が必要である。「医療安全のモニタリングの実施」や「患者の各地域での救急医療へのアクセスの確保」、「医療の質、患者の健康指標、患者の満足度のモニタリングの実施」については、何れも必要と答えた割合は若手医師の方が医学生よりも少なかった(χ2 検定 p<0.001, p=0.005, p=0.002)。若手医師は臨床現場で診療する中で、これらの項目が既にある程度実施されていることを知っていたり、モニタリングをすることの実現可能性に疑念を抱いている可能性がある。医療と介護、その他のデータの統合と利活用を

進めて、これらのモニタリングを実現する必要がある。それと同時に、モニタリングの結果が業務改善に反映される仕組みを作ることが重要だと考える。

80%以上の若手医師と医学生が必要であると認識していた項目は4つあった。まず、「医師自身の働き方に対する意識の変革」である。これは若手医師や医学生の意識改革だけでは⾧時間労働は是正できない。指導医や雇用主が率先して意識改革を訴えて職場ぐるみの取り組みが必要である。前述の通り、彼らが取り組めるように政府は医療提供体制を構築する必要がある。そして、厚生労働省は 2016年12 月の調査のように「医師の労働時間の定期的なモニタリングの実施」を行って結果を公開し、労働時間を1つの指標として職場間が競いあって労働環境の改善に取り組む材料にすることを提案する。また、若手医師や医学生にとって「オンコールや自己研鑽、研究活動を労働時間に含むか否かの明確化」は切実な問題である。法的もしくは自主的に明確なルールの策定とそれらの啓発を要望する。加えて、若手医師の多くは研修の機会を得るために研修病院の訓練投資分を給与から差し引いた研修医給与で生活している。若手医師の健康で文化的な生活が保障されるように給与の維持は必要である。

これらの課題の中で私たちが危惧していることは、医師の地域偏在や専門科偏在の対策のために、若手医師や医学生が研修の名目で医療資源の隙間を埋めるための労働力として使われて疲弊してしまうことである。地域毎や専門科毎の研修枠の設定や保険医の配置と定数設定等が行われるときは、研修の質や労働環境、生活環境に十分に配慮しなければならない。そして、これらの議論には必ず多くの若手医師や医学生の意見を取り入れるべきである。

また、「応召義務の見直し」は医師の職業倫理とも密接に結びついており、医師の労働基準法への理解が進まない原因の1つかもしれない。若手医師や医学生も巻き込んだ十分な議論のもとで検討されるべきである。

尚、若手医師は勤務環境改善支援センターと地域医師支援センターの存在を 93%が知らないと答えた。支援を必要とする若手医師に支援が行き届いていない可能性がある。今後の活用に向けて認知度を高めると共に、若手医師を対象とした支援内容も検討する必要がある。

私たちは、国民や行政、立法、医師会、コメディカル、アカデミア等が協力して、上記すべての事柄に対して包括的かつ⾧期的な目標を設定し、時間をかけて段階的に医師が労働基準法を守れるような環境を実現していくことを強く求める。そして、私たちはこれまでのように無関心を装わず、声を上げる必要がある。「壊れない医師・壊さない医療」を目指し、私たちは上記を提言する。

参考:厚生労働省

医師の⾧時間労働の法規制に関する若手医師と医学生からの提言書

「壊れない医師・壊さない医療」を目指して


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